私が、「事実判断と価値判断の峻別」というようなテーマの本を読んだのは、たぶん十代の後半。およそ40年ほど前になる。
あれから何も変わっていない。
いや、大きく変わった分野はある。・・・自然科学と言われる分野。
事実判断のみを扱い、人間の認識を捨象し、自然の摂理を条件式と数値で表す分野。
これによって、飛行機は飛ぶし、人工衛星は回る。
特にコンピュータや携帯電話の進歩は、想像を絶するものがある。
医療の関係もそうかもしれない。
ところが、人間の認識を認識のまま扱う分野、特に価値認識を含んだ分野においては、驚くほど進歩がない。自分の価値認識に執着しすぎている。
「日本は世界で唯一の被爆国だから、核兵器を持つべきではない」
「クジラは頭のいい動物だから、殺して食べてはいけない」
というような「理論的な誤り」が反省なく語られていたり、お化け・霊の話やら、何一つ進歩のない話がまかり通っている。